KnightsofOdessa

ブローニュの森の貴婦人たちのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

2.0
[クズのストーカー男とおせっかい女に弄ばれる貴婦人親子] 40点

ブレッソンを年内に見切る企画。所謂"ブレッソン映画"は次作「田舎司祭の日記」から始まるらしく、本作品では役者に表情があって笑ってしまった。キートンも笑っていた時期があるのと同じく、ブレッソンが映画の商業性に絶望する前最後の作品となっている。

主人公は没落した高貴な家の娘アニエスで今ではキャバレーの踊り子として母親と生活している。そこへおせっかい女エレーヌが自分の元恋人のクズ男ジャンをけしかけてくっつけようとする。ジャンは嫌がるアニエスに対してストーカー化し、アニエスの母親はふたりを裕福にしてくれそうなジャンに好意的になっていく。アニエスも嫌がっていたものの結局ジャンと結婚する。ジャンはアニエスがキャバレーの踊り子であると気が付いて失望するが、愛する妻として受け入れる。

物語は驚くほど退屈で下世話でどうでもよく、登場人物の掘り下げも甘々で、演出もブレッソンがどういう指南をしたか不明だが、所謂"ブレッソン映画"の無表情ではなく"演技の無表情"と"薄い感情"の狭間を行き来していてどっちつかず。ブレッソンと言われなかったら気付けないレベル。だから本作品を絞ってブレッソン要素を探すより、もっと有益なことに時間を使うべき。

アニエスが気絶するシーンとジャンが車をバックさせて何度もエレーヌが現れるシーンは楽しいけど、「スリ」とか「少女ムシェット」とかはもっとロックな話だった。正直この完成度ならブレッソンじゃなくても商業映画に絶望するよね。

★企画進行度。
残り「罪の天使たち」「田舎司祭の日記」「抵抗」「ジャンヌ・ダルク裁判」「湖のランスロ」「たぶん悪魔が」。
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