ドナウ

動くな、死ね、甦れ!のドナウのネタバレレビュー・内容・結末

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと余韻というか衝撃というか…撮影開始の合図から幕を開けた本作は、終着点で新たに見つけた対象、気の狂った母への撮影を促す。それまで写してきた子供達の事など忘れ、まるで新たな獲物を食い物にするかのように。タイトルも「動くな、死ね、甦れ!」という映画の中で死に、映画の外にて甦るというメタっぽい意味に思える。映画の中の真実と虚構、それは悲劇と喜劇のようで作中起こる悲劇もどこか滑稽で悪趣味に見えてくる。列車事故の音を消しているのも、日本人捕虜や肉体や精神が消耗した人達の行動も道化のようでフィクションである事を殊更に強調しているように思った。作中歌われる歌や流れるよさこい節や炭坑節、五木の子守唄などどれも印象的で、母親の元恋人の怒号のような歌声も個性的で良かった。あのオープニングの違和感をラストに引っ張り出してくる嫌ーな感じは「あの日の声を探して」みたいで…。なんていうか、いくらリアルに描いたつもりでもやっぱりそれは虚構でしかなく、映画というかフィクションの欺瞞のようなものを感じた。
ドナウ

ドナウ