カラン

白昼夢に抱かれる女のカランのレビュー・感想・評価

白昼夢に抱かれる女(2010年製作の映画)
3.5
デンマークのフォトグラファーの女が、ポーランドの経済学者の男に、パリで出逢う。女は男を夢の中で見ていたので、男の後をつける。女にも男にも妻子がおり、好色の男は女とやるが、家庭を壊すつもりはない。しかし女は夢に見た男なのでやってくれやってくれとつきまとい、、、という昼ドラのエロを強調した感じであるので、痴情のもつれに特段の興味があるというのでもなければ、物語に関しては語るべきことは特にない。

他方で、本作は非常にモチーフの配置と採光が優れているのではないだろうか。パリでは鉄道の高架や橋のアーチがとても印象的である。ワルシャワでは古くて静謐な直線が織りなす格子が、微かに社会主義の名残を感じさせる、実直な建造物の質感がごく自然に出ていた。デンマークの自宅はコペンハーゲンなのかどうかは、自宅の室内だけの撮影なので分からないが、パリやポーランドとは違う空気が流れていた。華麗な曲線が織りなす複雑さは、パリでの謎の出逢いのロマンスをうまく誘導していた。

しかし、スクリーンに透き通った白の膜をかける北欧的なものを思わせるカラーグラデーションは、パリとポーランドの光の質感を似通わせてしまい、エキゾチックを少し損ねてしまうバイアスになっていたかもしれない。パリ滞在をもう少し伸ばして、幸せな時間を作っておいたら良かったかもしれない。もう少し、歩いて見える街の風景がほしかった。あほくさい物語なのだが、もう少し、、、と感じるくらいには撮影がよかった。女の顔のクロースアップは肌荒れが目立ち毛穴がしっかり映っていた。こういうショットは、エロを売りにしたいのならば、やめたほうがよいのではないだろうか。穴を直接に映し、複数化してしまうと、エロではなくなるのである。

 
レンタルDVD。55円宅配GEO、20分の11。
カラン

カラン