さすらいの用心棒

フライド・グリーン・トマトのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

3.8
老人ホームで出会った老婆が語るのは、田舎町でフライド・グリーン・トマトを名物とする食堂を経営していた2人の女性の話だった─────

まさしく隠れた名作というべき作品。いかにも90年代のアメリカ映画という感じで、好きです。
回想パートってともすればテンポが悪くなるだけなんだけど、老婆の口から語ることで現代のパートと過去のパートが有機的に結びついて、しかも各パートの切り方がうまいので目が離せない。
KKKと黒人差別など現代まで尾を引く問題に加え、現代における女性の自立や同性愛なども描いており、欲張りでありながら気持ちのいいストーリーにまとめていて、とても安定している。
ただ、ルースの息子がどうなったのか、エヴリンの自立がこういう形でいいのか、なぜ警察はエヴリンに目を付けたのか、とか色々と気になるところは残る。山場が意外にあっさり解決されてしまうところも個人的には惜しいが、キュートでハートフルな作品であることに変わりはない。
『ミザリー』でサイコパスを演キャシー・ベイツが「私はもうホラー映画のデブじゃないのよ」と言っているのに笑ってしまった。