ブラックユーモアホフマン

SOMEWHEREのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

SOMEWHERE(2010年製作の映画)
4.1
Wiiスポーツなつかしっ!!

劇中使われてる音楽もなんか懐かしい感じのロックが多くて、近過去にタイムスリップした感覚でよかった。

絶対好きじゃないと思ってたけど、見てみたら結構好きだった笑
最後ギリギリ映画が終わる直前まで、なんにも起こらない。物語らしい起伏が何もない。最後に主人公が言う。「俺は空っぽだ」その”空っぽさ”を表すために80分超。この映画は何も起きちゃいけないのだ。何も起こらない退屈な時間こそが主人公そのものを表しているから。

『ロスト・イン・トランスレーション』にも当然似てるけど、嫌いだった『ロスト・イン・トランスレーション』と比べてこちらは好き。『ロスト・イン・トランスレーション』のビル・マーレイも俳優で、空っぽなヤツだったけど、その空っぽさを歳下のスカヨハが埋めてくれちゃうキモい話だったのに対して、本作の主人公とエル・ファニングは親子だからそういう関係にはなり得ないし、だからこそ主人公が自分の空っぽさから逃げられなくて向き合わざるを得なくなる。まあ向き合ってからどうするのかをもっとちゃんと描いて欲しいとは思ったけれども。ラスト。あれで終わられてもね。本当に変わるのかコイツって感じで。

またコッポラ家に生まれ育った監督からしたら、ちょっと自伝的なところもあったりするのかな、つまり、本作のエル・ファニングの立場として。ショービズ業界を物心つく前から見て育ってきたソフィア・コッポラにとって、その異常な世界で傷ついた大人たちや、傷つけられた自分自身のことは最も身近な題材で、セレブの余裕のある暮らしがちょっと鼻につく内容だけど、それが監督にとっては何よりリアルで。だからなんとなく、セルフセラピーみたいな映画なのかもしれないとも思った。

ベニチオ・デル・トロがカメオ出演してる感じ、ショービズ界を舞台にして本物のスターがチラッと出てくる感じが、元パートナー、スパイク・ジョーンズの『マルコヴィッチの穴』とかに似てるなと思っちゃうんだ。

【一番好きなシーン】
一番有名なプールサイドのシーンはやっぱりいいなと思った。卓球してるところから音楽は続いてて、いつの間にか場所を移動してる。ゆっくりズームアウトしていって、手前をプールから上がった親子が通り過ぎるタイミングとか、その二人から滴り落ちて付いた水の跡が残ってるのとかも素晴らしい。