YasujiOshiba

デモンズ4のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

デモンズ4(1991年製作の映画)
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E君のBD。音楽いいなと思ったらピーノ・ドナッジョではありませんか。ポップスの人だけど、1973年にニコラス・ローグ監督の『赤い影』で映画音楽デビュー。『キャリー』(1976)や『殺しのドレス』(1980)などのデ・パルマ作品の多くを手掛けてるんだけど、このソアーヴィ作品の音楽もよいわ。

冒頭の1970年のシーンは、チャールズ・マンソン・ファミリーから着想を得てるという。キリストような男が自己紹介するとき、ストーンズの『悪魔を憐れむ歌』の引用になっているというあたりのチープさが、アルジェント的批判精神なのかね。

そこから時代と場所が飛んで、1991年のフランクフルト。アルジェントってドイツが好きだよね。なにしろ原題が「La setta」(セクト、教団)というのだから、プロテスタントの分派(ゼクテ)を想起させる。だからドイツなのかもね。それは、原始キリスト教の小さな教団(セクト)でもあるのだけれど、むしろドイツプロテスタントの諸派がアメリカに渡り、その悪魔的な部分がマンソン・ファミリーへと繋がるって考えても面白かもしれない。

その意味で、主演のミリアムの依代としてケリー・カーティスを選んだのは悪くないよね。なにしろ『サイコ』のジャネット・リーの娘なんだから、そりゃ目力がある。スクリームクイーンぶりも悪くない。妹のジェイミー・リー・カーティスよりも知られてないけど、なかなか。

もともとはアルジェントが撮る予定だったらしいけど、盟友のソアーヴィに託したみたいね。ソアーヴィも嬉々として撮っている感じ。地面を舐めるような移動撮影なんかわるくないね。多用するからちと鼻につくけど、それはそれ。映像はいいよね。ミリアムちゃんの家をうまく使うんだよな。部屋、階段、そして地下からさらに地下へ。その地下から、あの深い丸井戸の穴がさらに奥へと続くんだからうまいよね。建築的というか映画的というか、ついダンテの地獄を思い出しちゃったり。

ラストのどんでん返しも悪くないよね。燃えて終わりかと思ったところから、奇跡がおきるのだけど、その奇跡の意味が転倒しているってところがまたよい。なるほど、そんなに簡単に終わらせるわけにはゆかないというソアーヴィ/アルジェントの目配せ、確かに受け取りましたぜ。
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