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ナチスが最も恐れた男のKICHIのレビュー・感想・評価

ナチスが最も恐れた男(2008年製作の映画)
4.1
2016/9/5
 邦題だけで判断するとスターリンかな?と思ったりしたが、第二次世界大戦時にナチスドイツに占領されたノルウェーでレジスタンス活動に身を投じたノルウェーの英雄マックスマヌスを描いている。
 この作品を観るまでマックスマヌスの名前すら知らなかった。きっと北欧では有名人なのだろう。第二次世界大戦中の北欧の状況としてスウェーデンは中立国でデンマークはナチスドイツの占領下だったことは知っていたが、ノルウェーとフィンランドについては今回初めて知ることになった。とても勉強になる。
 マヌスの活動が年月日と共に詳細に描かれているし、彼の人物描写も過不足ないし、緊迫感のある破壊工作シーンに、銃撃戦、人間ドラマなど全体的にバランスよく描かれているのでとても良かった。
 マヌスもヒトラーのように強運の持ち主だった。常に死を覚悟しているにも関わらず、仲間が次々と死んでいく中、彼はいつも生き延びる。運も実力の内と言うがその通りだと思う。
 終戦後にマヌスが部屋で独り、仲間たちの面影を偲ぶシーンでは涙が止まらなかった。あの時代あの状況だからこそ築ける仲間との関係性がどれほど凄いものか現代に生きる我々には想像もできないが、あのシーンで私もマヌスと共に空虚感に苛まれた。最後のシーンにはとても救われた。(きっとマヌスも)
 フランスでのレジスタンス活動についてはネットで見たり、『シャトーブリアンからの手紙』を観て知っていたが、マヌスとその仲間たちのように北欧でもレジスタンス活動を行った人々がいたことを知る良い機会となった。
 『誰がため』という映画を薦めている人がいたのでそれも観てみたい。
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