ヤドカリ亭

渇きのヤドカリ亭のネタバレレビュー・内容・結末

渇き(2009年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

同じ監督の『オールドボーイ』は設定の面白さと落とし所を踏まえた結末で、韓国映画、喰わず嫌いの自分でさえ感心するほどの良い出来だったと記憶している。

『渇き』の設定も確かに面白い。吸血鬼になった元医者志望の神父、というキャラ設定は韓国におけるキリスト教のパロディであろうかと推測できる。

又、黒人には感染せず白人とアジア人だけに感染する設定は韓国人の人種観のパロディであり、母親と息子の近親相姦的な関係性、姑に仕える嫁、夫のDVに耐える嫁、など韓国の家族図をひとまとめにしてパロッている。

韓国人、あるいは自分自身を冷徹に俯瞰する監督のそんな視線が最後のテーマである男と女をどう描くのか、どこを落とし処とするのか期待しながら最後まで見た。

あえて言えば、あえて言えば(←2回も言うな!)男と女の関係性は、永遠性とか責任感とかの枠組みがなければ愛を成立させ難い男に対して、生(なま)の愛だけで生きていける女の違いから生じて、それゆえに現世では決して交わることはない、といった着地点だったのだろうか。

しかしそれを2人がラストシーンで言っちゃってるので興醒め。とにかくガッカリした。『オールドボーイ』の監督だから期待していたんだけれど。

この映画を観た後、嫁が私の首筋を狙ってくるのが恐い。
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