トカゲロウ

舟を編むのトカゲロウのレビュー・感想・評価

舟を編む(2013年製作の映画)
3.5
辞書を作る映画です。
まずパッケージとキャスティングを褒めましょう。
いかにも女子高生が好きそうな感じです。それが良いですねぇ。
紙の辞書って何?重いっしょ?iPhoneでググればいいじゃん?ウケる!とか思っている女子高生が観たら、主人公の熱意に圧倒されることでしょう。
多くの人に観られることは、辞書や映画を含めた表現物にとって幸せなことです。
地味な題材とこじんまりとした世界観のこの作品の門戸を広げ、若い人たちに観る機会を作ったパッケージとキャスティングは良い作用を起こしましたね。

勿論、その作用は中身あってのことです。
辞書作りという大変画にならない題材を見事王道熱血ストーリーに仕上げています。
いや、色々と文句はあるんですが!
オダギリジョーの役が浮いているだとか、なんでヒロインが主人公のことを好きになったか?とか(^^;
一番言いたいのが、最後のパーティーで髪の毛が青色のオッサンがいたことですよ。
誰だお前!なんで髪の毛が青いんだ!
そして画面の中央に立つんじゃない!
いいことを話しているのに、オッサンの髪の毛が気になり集中できませんでした。

ジブリの「風立ちぬ」とよく似ています。
ただし、これは女性が表現した男性のストイックさですね。
「風立ちぬ」ではどこか突き放したようなストイックさでしたが、今作では抱き締められた感覚を覚えました。
勿論、どちらも尊敬に値しますが個人的には完璧過ぎる登場人物たちには少し苦笑いです。

監督は石井裕也さんですかぁ、「川の底からこんにちは」で観せてくれた長回しの様な魅力をもう少し出して欲しかったですね。
しかしながら、キャストばかり押し売りする邦画の中でキッチリと主題を描いた手腕は流石です。

この映画を観た女子高生たちは(松田龍平カッコいい~!)となっているでしょうが、実際この主人公が傍にいたら「キモい。」とか陰口言うでしょ?
貴女がクラスで馬鹿にしているネクラ野郎はこんな風に凄い奴かもしれませんよ?

長々と駄文を書いてしまいましたが、結局私が言いたいのは「個人的に女子高生がそんなに好きじゃない」ってことです。
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