ブタブタ

私の奴隷になりなさいのブタブタのレビュー・感想・評価

私の奴隷になりなさい(2012年製作の映画)
3.5
「第一回ガキの使いやあらへんで!!チキチキ、私の奴隷になりなさい~~~」
または
「ダウンタウンの絶対に笑ってはいけない調教24時」

板尾創路は今ではお笑い芸人と言うより役者の仕事の方がメインになりつつあると思いますし、個性派俳優として他にない存在感を示していると思うのですが本作品に限って言えばその存在感が完全に逆に作用してしまっていると言いますがはっきり言って板尾さんの登場シーンは『ガキの使い』にしか見えません。

謎の調教師「先生」と言うキャラクターからして『ガキ使』の何かのキャラクターみたいですし、板尾創路と登場する杉本彩がいつ「モチロンソウヨー」と言い出しても違和感がない様な、これはエロなのかシュールなコントなのか何がしたいのかよく解らないのが正直な感想です。

ご主人様の命令で羞恥プレイをさせられている、と言う風に見る事も出来ますが(実際そうなんですが)
失礼ながら当時既に30を過ぎている壇蜜さんがセーラー服にお下げ髪、無表情で向こうからやって来て無言で通り過ぎて行くシーンは間違いなくあの、デデ~ン「全員アウト~」にしか見えません。
板尾創路が出てきて「彼に乳房を見せなさい」とかテーブルをバン!と叩く度にデデ~ン「浜田、松本アウト~」と言うあの声が聞こえて来そうです。

松本人志監督作は『大日本人』以外未見なのですが『R100』はSMの女王様が突然出て来てしばかれる、笑ってはいけない~のセルフパロディ?劣化コピーの様な作品だと評判は散々ですが、同じSMを描いた作品として笑わせようとしていない分、私の奴隷に~の方が意図しない妙な笑いを生み出しているのかも知れません。(私の奴隷に~はお笑いじゃありませんが)

確か撮影時には無名だった壇蜜さんが映画公開時にはブレイクしていたと言う、ロジャー・コーマン監督『デス・レース2000年』のシルベスター・スタローンと同じパターンで、もうこんな壇蜜さんの体当たり演技(体当たりする方向が間違ってた様な気もしますが)は見れないと思いますし、そこは貴重な作品だと思います。

亀井亨監督を検索してて本作に辿りついたのですが、この作品の事は知っていたのですがまさか亀井監督作だとは思っていませんでした。
既に海外の映画祭で上映されている亀井監督の『無垢の祈り』はその凄まじい内容ゆえ日本公開のメドがたっていない様ですが一刻も早く公開して欲しいです。

『無垢の祈り』は北野武監督の「北野ブルー」ならぬ亀井監督独自の映像色「亀井グリーン」に全編が彩られその内容と共に映像美も必見の作品と日本での公開を切に願っております。
私の奴隷に~もほんの数秒ワンシーンだけ街の遠景を捉えたショットがあり不穏な緑色の空が広がっている、ほんの少しですが「亀井グリーン」の映像美を見る事が出来ました。
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