ホン・サンス監督作品。
お得意の長回しの会話劇が、独特の構造で展開される。
何度も反復される、「多情」「小説」などの場所や人物たちなどのモチーフ。それらの反復の細かな差異が心地よい。
パラレルワールドのようにも、単に時系列をいじったようにも解釈できる。
自分は、行きずりの関係を結ぶことを繰り返している軽薄な主人公が、反復と差異の小宇宙に閉じ込められる物語として捉えた。
ラストはもしかしたら、どこかで関係をもった女性なのかもしれない。それをやっと思い出して、唖然としているのかもしれない。
ホン・サンスマジックは本作でも炸裂。やはり面白いし興味深い作家だ。