このレビューはネタバレを含みます
韓国作品をそれなりに観てはいますが白黒映像は初めてで、いまの時代にわざわざ白黒で撮るってことは意図やこだわりがあってのことなんでしょうね。
物語はむかし映画監督をしていた男が久しぶりにソウルを訪れ知人と会ったりするのだが、“元カノ似”と出合ってから作品の色合いは大きく変化する。
“先輩”と会食し、先輩の行きつけであるバー“小説”にて店主である元カノ似と出合う…
ってのが基本軸。
そして“小説”に行くパターンや人数や登場人物らの心情や台詞を変えた2パターン、計3パターン見せられる。
自分は2パターン目までこの展開や奇妙な台詞に少し頭をひねったけど、3パターン目にてその意味を理解した。
簡単に言えば“起承転結”が“起承転転転結”といった物語の構造をしているのだと思う。
どうもこのホン・サンス監督はこういう手法、“反復と差異”をテーマに映画を撮ることが多いようですね。
ここで起こることは“パラレルワールド”なのか?
監督の“妄想、空想(小説)”なのか?
は自分には分からない。
まっけど落ち目監督の“妄想、夢物語(映画の脚本の構想)”と捉えるのが無難かな…?
劇中の台詞から察するにヒトとヒトとの出合いの“縁(偶然、必然)”だったり、物事の“二面性(多面)”だったりなんだとは思うけど、どうあれこうあれ自分は監督のキャラ、女性に対しての振る舞いが自分勝手な感じがして嫌いやし、こういう気取った感じのする作風(『青いパパイヤの香り』や『クーリンチェ少年殺人事件』等とか)は苦手です。
むかしのフランスの白黒映画とかが好きなヒトはハマるんでしょうね。
2020年93本目