サプライズ

レ・ミゼラブルのサプライズのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)
4.1
明日に向けて

「レ・ミゼラブル」と言えば、幾度となく映画化されてきた傑作ミュージカル。とは言ってもミュージカル体制ゼロ、映画で唯一苦手なジャンルはミュージカルの自分からは程遠い作品。食わず嫌いでずーっと避けてきたが、とある人のオールタイム・ベストということで鑑賞することに。
全編ミュージカル、まともに会話するシーンはほんの数箇所の本作であるため、全面的に受け入れることが出来たとは言えないが、そもそものストーリーが素晴らしく、境遇やメッセージがグサッと胸に刺さってしまうから、個人的には歴史物としてすごくいい作品だなと思えた。

この重い話をミュージカルというエンタメでまとめあげる、その発想に脱帽。こりゃ長きにわたって愛されるわけだ。永遠と歌い続けるため、正直感情移入はしずらく、舞台を見ている、演技を見ている感は否めない。どうしても客観的に見てしまう。
しかしながら、この手の作品においてよくある、そして自分がミュージカルを受け付けられない大きな理由であるベタなメロドラマは、本作ではおまけ程度の扱いで、メインはフランス革命時代に生きる人々のドラマ。あくまでこれを元にしたフィクションであるため、歴史からするとかなり断片的な作品だが、人物描写がとにかく秀逸で、当時の過酷な状況、悲惨さが画面越しに伝わってきた。

大物俳優たちのミュージカル。映画ファンとしてはこれだけでかなりの見応えを感じられる。本作でアカデミー助演女優賞を受賞したアン・ハサウェイの怪演はもうとんでもない。演技という域を軽々と超えていて、早急に健康的な彼女の姿を見たくなった。ヒュー・ジャックマンやラッセル・クロウ、そしてエディ・レッドメインもここまで美しく高らかな歌声を奏でてくれるとは思わなかった。ローガン×アモルト神父×ニュート。なんて組み合わせなんだ。この3人が一同に映っているだけでテンション上がるんだけど。

ミュージカルは苦手、と勝手に決めつけてきたが、こういう政治や歴史を知れるという意味では今後ももっと触れ合っていかなければならないなと思えた。まだまだ苦手を克服できたとは言えないから、この調子で色んな傑作ミュージカルを堪能していこうと思います。とある人に聞いて、ね。
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