ちろる

サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへのちろるのレビュー・感想・評価

3.8
キアヌ リーヴスがプレゼンターとなり、届ける映画産業の最大の革命、フイルムからデジタムの変革を取材したドキュメンタリー。
いま活躍する著名な監督やカメラマン、そして編集者約30名にインタビューを進め、そこから各映画人の価値観やキャラクターまでも読み取ることが出来る貴重な資料でもある。

私は幼い頃から父の影響で、古い映画から入ったというのもありフイルムの味わいに「映画」を感じてしまう。
「ニューシネマパラダイス」のトトや、「カイロの紫のバラ」セシリアのあのキラキラとスクリーンを見つめる目がこの上なく好きだけど、だからといってデジタル否定派ではない。

スクリーンで観たときに初めてその奥深い世界観を見せてくれるフイルムと違い、デジタルは家庭用のモニターでも60インチ以上あればある程度の感動を手にする事ができる。
これをお手軽だと揶揄することは簡単だけど、このデジタル革命によって、私たち映画ファンが享受できたものは計り知れないから。
ソダーバーグ監督やジョージ ルーカス監督のように、デジタルのメリットを最大限に利用する映画人もいれば、クリストファー ノーラン監督のように自分の作品においてフイルムにこだわる人もいる。
このドキュメンタリーのタイトルが示すようにどちらにもメリットがありデメリットがある。
どんな作品が好きなのか、どんな風に撮影したいのかによってその価値観が大きく変わっていくことを観る私たちもしっかりと受け入れていく事が大切なのだと教えてくれた。
そういった意味でこれは映画学としてかなり有意義な作品なのかも。
フイルム派、デジタル派この論争はこれかもしばらくは。
その中でそれぞれの素晴らしい作品がこの世界に登場し続けてくれるならばありがたいと思う。
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