真魚八重子

塀の中のジュリアス・シーザーの真魚八重子のレビュー・感想・評価

5.0
これは通常、ドキュメントとされるものにも演出が入っていることを、とてもおおらかに見せていて、その豪快かつ凝ったカメラアングルでとても素晴らしい芸術作品に仕上げている。
刑務所の受刑者たちで演じる『ジュリアス・シーザー』。こういった試みをしている刑務所や少年院は他にもある。何かを作り上げる喜びを知り、観客の感動から自分の存在価値を感じ、芸術への興味から世界が開けるなど、様々な効果がある。
すっごく演出が入っていて、刑務所の金網に守られた外の散歩道を練習に使ったり、ラストも舞台を終えた受刑者が独房に戻ると、入る姿と入ってくる姿をカットを割って撮っていて、ドキュメントと言う気はさらさらないのが良い。この囚人のセリフにも胸を打たれる。
演劇自体、とても良い出来栄えで、怖い世界で生きてきた人なりの迫力もあるし、見ごたえがある。
真魚八重子

真魚八重子