秀ポン

ムーンライズ・キングダムの秀ポンのレビュー・感想・評価

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)
3.3
サムの顔の感じが友人に似ていてなんか嫌だった。
主役2人の、「私達、変わってるのよね……😮‍💨」みたいな嫌な自意識が、ウェスアンダーソン映画に出てくる子供あるあるの無表情がちな演技で倍増していて、それも嫌だった。

しかし、駆け落ちするったって、こんな小さな島でどこに行くっていうんだ?という、舞台が2人の逃避行にもたらす哀れさというか切なさというかはかなり良かった。

逃避行の果てに見つけた浜辺は、しかしそれ以上先には進めないということを強く印象付けている。辿り着いたというよりは、辿り切ってしまったというか。

サムは自分を受け入れてくれる里親と出会い、2人は家に帰る。
ラスト、サムは彼女を見てるけど、描いてるのはもう消えてしまったあの浜辺、ムーンライズキングダム。
サムにとっての彼女はムーンライズキングダムと結びついていて、しかもその浜辺はもう消えてなくなってる。
この2人、続くわけなくないか?

この、不意に不穏を落としていく終わり方は結構好き。(記念に2人の思い出を描く、みたいな温和な終わり方には感じなかった)

──その他、細かな感想。

・駆け落ちだってのに山ほど本を持っていくのも、テーブルを持っていくのも、ウェスアンダーソン的な美意識といえばそうなんだけど、まあ(特にローラの方は)ガチで逃げ切れるとは思ってないんだろうな。

・黄色の草原で、画面中央奥に風車、それを挟んで画面の両端で2人が対峙するシーンが良い。

・武器を持っていくなというフリに少年たちが用意した武器がガッツリ武器すぎて笑えた。
秀ポン

秀ポン