風の旅人

シュガー・ラッシュの風の旅人のレビュー・感想・評価

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)
3.5
30年間同じ仕事をしていれば飽きるのは当然で、自身の役割に疑問を持っても別段不思議ではない。
本作はそんな中年の危機を迎えたラルフのアイデンティティをめぐる物語である。
ヒーローと悪役はコインの表と裏。
悪役がいるからヒーローは輝くのであり、悪役がいなければヒーローの存在意義はない。
ビルを破壊するラルフとそれを修復するフェリックスは相互補完関係にある。
ラルフは悪役を演じているだけで、悪人であるわけではない。
しかし周りは長年仮面を被ってきたラルフのありのままの姿を見ようとしない。
不具合キャラのレッテルを貼られたヴァネロペもまた同じ憂き目に遭っていた。
似た境遇にある二人の間には年の差を超えた友情が芽生える。
「みんなのヒーローにはなれなくても、誰かのヒーローにはなれる」というメッセージは響くものがあった。
「ターボ」の伏線の張り方、コナミコマンドによるロック解除、お菓子の国の造形などに感心した。
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