このレビューはネタバレを含みます
プロフェッシングは自分の過去を口にすることで、コーズによって時間をめぐる旅を行い前世に繋がり、戦争やガンをなくす。
意味不明、かつ、とんでもないペテンだ。
自分の心に秘めた弱さ、醜さ、負い目、コンプレックス、悩み、痛み、苦しみ、それらすべてを口にして否定されることで心に隙間が出来て、何かが入りやすくなる。
男は海兵隊。
頭にあるのは酒にセックスに暴力。
麻薬みたいに彼を犯し、染み込んでしまった、ふざけた人生。チャラけて誤魔化し、逃げてばかりいる性格。彼には芯がなく、常に心の隙間に「悪魔」が入り込む。
新興宗教団体のマスター(支配者)であるオッサンは彼の心の隙間に手を伸ばし、支配しようとする。その目的や理由、動機は分からない。酒に酔った男が船に不法に乗り込み、悪戯に作った悪い酒を飲み交わした、それだけの仲だ。
言わば治療である心の解放と、前世と未知への甘言は、何も手元にない元軍人の屑には響き渡った。
もはや遅すぎた女の子との約束、大きな傷跡を残した戦争、まともな神経ではないから続かない仕事。逃げ場も行き場もない男には、マスターの言葉は人生そのものになる。
これは新興宗教団体への警鐘?
それとも、カウンセリングへの皮肉?
結局、男は行きずりのセックスを行い、砂で作った女の身体を抱き、ニワカ仕込のマスターの言葉を使っては笑われてしまう。
マスターの口から発する言葉は、心が浮遊するような、自分の中が洗われるような、不思議な感覚を得たのに、いざ自分が真似をしても同じようにうまくはいかない。
彼は何を学び、何を得たのか。
なんてことない。空っぽの教えに、空っぽの人生、そんなものに真理などない。皮肉めいたラストシーンだ。