上海十月

ザ・マスターの上海十月のレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
4.3
前作の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」でも宗教について言及している。そこで本作は、新興宗教(元は、自己啓発セミナー)に魅かれ、離れていく主人公の物語である。日本でこういう作品作ると大変なんだろうが、アメリカは、きちんと作れて、もめはしたが公開できるのである。何かにすがりたい、頼りたいのは人間の業のひとつだろう。巧みに人々魅了する教祖を演じるのは最近なくなったフィリップ・シーモア・ホフマン(没46歳)だ。演技がうまいんだなぁと実年齢より上の役が演じられる。フォアキン・フェニックスは、やせすぎてダニエル・ディ・ルイスに見える。マスターが密造酒つくりの信者でもない男をそばに置くのは、周りがYESマンだらけで利用されているから客観的に観るためにわざと置いているのかと思う。しかし、そんな彼も魅かれていたが、発言に疑問を持って去っていく。自分を持たなければならないと考えさせられる映画であった。音楽も現代音楽のようで奇妙なこの映画を際立たせていた。