骨折り損

空気人形の骨折り損のレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
3.5
板尾創路の気持ち悪いおっさん感は良かった。てか、この人こんな役ばっかりだな。本当にハマり役。

そしてぺ・ドゥナの透き通るような透明感とどこか無機質なメイクがあいまって、こちらもハマっていた。
井浦新も、柄本佑も脇役も全員「あー、っぽいわー」と思えるキャラばかりでキャスティングはとても良かったと思う。特にオダギリジョーは、空気人形がダッチワイフ工場を訪れた時、オダギリジョー出てきそうと思ったらまんま想像した格好で出てきて笑った。

しかし、空気人形の一本筋で進む話かと思いきや唐突な群像劇的な演出がちょいちょい挟まれていて、個人的には本筋に集中し辛くマイナスだった。

汚い部屋で親に反抗する女性や、ストーカーチックなヲタク男子など、社会問題を反映したような記号的な脇役がけっこうたくさん出てくるが、この人たちを出す効果がイマイチよく分からなかった。出てくる割に、ドラマはさほどないし。空気人形の視点からのみの話に終始した方が見易かったと思う。

空気人形が部屋を飛び回ったり、だんだん人間になっていく映像表現は見ていて楽しかった。

ファンタジーな世界観を楽しむだけでも一見の価値はあるが、物語自体はグッとくるような展開はなく、あまり興味を惹かれる部分はなかった。

空気人形だけに、空気みたいな映画...と言いたいところだが、意外と荒々しい展開もあるので、そうも言えない。
結局、なんだったのだろう。
骨折り損

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