影屋れい

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかの影屋れいのレビュー・感想・評価

2.5
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』。
若い頃…二十代の頃はこの作品を観て、人類は何と愚かで馬鹿馬鹿しいものかッッ!と只々爆笑していたものですが、現在(2021)もうすぐ五十に差し掛かってくると、憐憫の情が沸き愚かしい笑いどころか哀しみが沸いてきます。
ただ、自身の年齢の変化があっても今作の鑑賞時の根底の思いで変わらないのは、危機感にあっても消えない人種の差別と偏見。選民思想。
割り切ったブラックユーモアとして楽しめる事は否定しませんが、なかなかに辛い。乾いた笑いでは済まない。
世界は脆く、この作品の結末が実際に起こらないことを祈るばかりです。現実はこれに近く近くなっていることに恐れを感じます。どうか平和が続きますように。
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