鑑賞前は馬鹿馬鹿しいブラックコメディだと思っていましたが、しかしその内容はあまりにもおどろおどろしい。
軍人・政治家・学者がくだらないことしてる場合じゃない状況でくだらないことしながら世界が滅ぶのを阻止しようとする、目を覆いたくなる現実。
末恐ろしいのは話が進むにつれて全員がいたって真面目であるのがわかるところです。どんどんシリアスな空気になってゆくのに、同時にどんどん狂ってゆく。こんなふざけた終わり方で世界が終わっていいのか、と空虚な絶望にさいなまれます。なによりいちばん恐ろしいのは、こんなバカげたことに毅然としたリアリティがあること。
リズムに合わせて優雅に、そして楽しげに圧倒されるクライマックスには茫然自失するほど。ここまで怖ろしく美しく魅力的で破滅的なエンディングを目の当たりにするのは初めての体験です。