ヨウ

二郎は鮨の夢を見るのヨウのレビュー・感想・評価

二郎は鮨の夢を見る(2011年製作の映画)
3.5
無骨に毎日同じことを繰り返して二郎の今がある。昔ながらの職人魂。日本男児の鏡のような人物。

そんな彼の生き様の一端に触れられることも魅力だが、個人的には外国人監督が切り取る日本の描写がとても新鮮で、この映画の面白いところだと思った。
日本人があまり知らない、もしくは意識していない日本らしい風景。魚市場のセリや寿司屋の仕込み、車窓から覗ける住宅立ち並ぶ街並み、ぎっちりと整列されている駐輪場の自転車など。異文化として捉えている人が撮っているからこそ、それは日本なのになんだか異国のように感じた。

話は二郎に戻るが、彼の生き方は男の憧れの象徴のようなもの。何事も反復が大事だとは言うが、それを貫ける人はほんの少数であり、かなり過酷な道だ。にも関わらず二郎は80年近くも同じことを続けている。気の遠くなるような長い修行の果てに辿り着いた境地。されど決して歩みを止めない二郎の生き様に、感服せざるを得ない。
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