アンチクライストの停滞のレビュー・感想・評価

妻にセラピーを施しているはずがもう途中から何を見ているのかよくわからなくなってくる。ある意味脱線しているようでありながらその脱線も含めてセラピーだから脱線してはいない。話のストーリーよりも人物の存在感が前面に出すぎているんだと思う。
冒頭のあの出来事を撮ってみろと言われたらどうするだろうか、ただ単に地面に打ち付けられる瞬間とか血飛沫が上がる様の描写による現実に流れる時間に近い感覚で描いてしまえばおそらく観客はこの世界に入っていけないと思われる。それを最初から描いていくあたりに監督の持ち味が感じられる。シャルロット・ゲンズブールもすごい。