地震のシーンと大平晋也のシーンがあまりに好きすぎる。声を使った効果音もかなり良い。
宮崎駿作品、年々色使い(特に美術)が派手になっていってるのだが、宮崎駿や保田道世の間にどんな心境の変化があったのか気になる。
菜穂子が美しいままで映画自体から去ったり、反戦の意欲がそこまで感じられないのに対し、男のロマンで片付けられているような気持ちになったのだが、この映画は二郎視点でずっと動いていると思うと納得がいく。
要するに、菜穂子の好きな人目線であり「美しい飛行機」を作ることにしか興味のない男の目線であるということ。=宮崎駿の視点ではないということ。
飛行機好きの少年だった宮崎駿が、そのジレンマやアンビバレントな感情と真摯に向き合った作品なのかもしれない。
零戦は敵にぶつかるための戦闘機であり、一基も戻って来なかったという映画内での事実や、菜穂子が去ってしまった事実は、二郎のエゴイズムでしかなかったのではないかという厳しい現実を突きつけてくる。
それでも生きねばならぬのだ。
