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愛、アムールのxoのレビュー・感想・評価

愛、アムール(2012年製作の映画)
2.8
ひたすら見たくないものを見せつけられるという意味では「ファニー・ゲーム」と同じ。
同作は作りからしてフィクションであることを強調していたけど、本作は真逆。現実世界にありふれているであろう見たくないものを描写。

歩行にしろトイレにしろ、具体的な所作を長回しで見せつけられる。
夫婦のうち、病を患った女性の方は、言葉の上では気丈でありたいと思いながらも、心に身体がついてこないこと、思い通りにならないこと、培ってきたイメージを壊さないではいられないことが苦しい。
介助する男性の方も、コミュニケーションすらままならなくなっていくことに心が疲弊していく。
双方ともできていたことができなくなり空虚さが増していく。長回しと淡々としたタッチによって、真綿で首を絞められるようにしてそれを実感させられる。

非常に淡々としていて、劇的な何かはほとんど起こらない。
本来は映画館のような逃げ場のないところで見るべきなんだろうなとは思う。
正直なところ、物語の起伏のなさにもだけど、作品テーマや表現されるものにも特に新しさは感じられなかった。
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