hajime363

愛、アムールのhajime363のネタバレレビュー・内容・結末

愛、アムール(2012年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「ファニーゲーム」のミヒャエル・ハネケ監督が描く“愛”
興味は湧くけど、観た後に後悔しそうで観たくないやつですね。

結論、後味は悪くないけども、モヤモヤは残った。
それは、人生において非常に普遍的な“答えの無い問い”を生々しくも綺麗(美しく、かつ精緻)に描いているからだと思います。良い映画。

以下、ちょっと具体的に。
仲の良い老夫婦、奥さん(アンヌ)が半身不随になってしまい徐々に衰弱していく。これが生々しい…
途中、自死を試みるも失敗に終わる。この時、アンヌは介護をしている配偶者(ジョルジュ)に死を望んでいる旨を伝えるが受け入れられてもらえない。
ここが他の尊厳死モノと違う点ですね、介護が配偶者中心であることでテーマが愛になってます。
何だかんだ色々あって、最終的には“給食が食べられなくて辛かった思い出”を語った後にジョルジュはアンヌの口を枕で塞ぎ窒息死させます。

個人的には“愛”は、当人が望んでいなくても、その人の為になると信じて押し付ける行為、その熱量だと思っています。
その理屈を当てはめると、自死を阻んだ“生の押し付け”は愛であり、最後の決断は愛ではない何かのように見えました(尊重ですかね、ここが難しい所です…)

アンヌが自死を試みた窓から入ってきた鳩に対するジョルジュの反応は象徴的。
窓を閉めたり、道具を使ったりして割と必死に(意図的に)捕まえようとする、捕まえたあとは撫でたりして愛でるけど結局は逃がしてあげる。
アンヌに対するジョルジュの愛の“揺らぎ”を端的に表していると感じます。

そう考えると愛って空しいですね…
あっ!書いてたらやっぱり胸糞悪くなってきた!さすがミヒャエル・ハネケ!
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