さわら

天使の分け前のさわらのレビュー・感想・評価

天使の分け前(2012年製作の映画)
2.5
ダルデンヌ兄弟「ある子供」を見たときにも感じたことだが、男はいつまでも子供らしい。そして出産を終えた母は既に大人である。両者の間にトラブルは生まれる。今作も幼稚な父という意味で、「ある子供」を彷彿させるところがある。しかしダルデンヌ作品には、幼稚であるがゆえの悲劇があった。今作はちがう。見終わり、「そうじゃないだろ」と言いたくなるもどかしさ。それは、悪いことしたらお天道様が見てるという日本人の道徳観に通じる気がする。僕は1人の男の成長ドラマが見たかったわけであり、ただ罪を美談にするような映画が見たかったわけではない。「天使の分け前」というオシャレなネーミングを被った、畜生野郎どもの映画である。それにしても、どこの国でも貧しさと教育は切っても切れない関係にある。ウイスキーに触れることにより、またハリーというウイスキー愛好家と出会うことにより、初めて自らの国の歴史を学んでいったロビーたちの姿が、この話の唯一の救いではある。