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クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!のLCのレビュー・感想・評価

3.7
面白かった。

究極の焼きそばを食べたい。そんな子どもたちの、美味しい香り漂う冒険が始まる。
久しぶりに、友だちの絆が前面に押し出された物語。犬さんも一緒。

お父さんにもお母さんにも内緒で、子どもだけでB級グルメのお祭りに行こう。
各々自分なりに支度をして、困っている人を助けようとしたり、子どもだけでバスに乗ったり、大喧嘩して「防衛隊なんて解散だ」と宣言したりする。
美味しい焼きそばを食べに行く筈が、とんでもなく重い荷物を運ぶことにはなるし、迷うし、お腹減っても食べ物ないし、何か変な奴らは絡んでくるしで、みんなの気持ちがギスギスとぶつかり合うのは仕方のないことだった。
それでも、喧嘩している最中もみんな揃って罠にかかるところとか、本当にかわいい。クスッとする。
人を助けて後悔したけど、ちゃんと報われて、美味しい食べ物は美味しいと敵さんとも共有できて、みんなで責め合って許し合って、どこまでもかわいい。

A級B級と線引きして、こっちは認めない、こっちは庶民の味方、みたいな対立が見られる。
美味いもんは美味いので好き、という理屈のわしから見ると、やっぱり「美味しいとかじゃなくて、下賤のものだからダメ」という感覚は、ちょっと勿体無い気がする。
世の中の様々な美味しさを嗜んでこそ、グルメを語れるんじゃなかろうかなあ、なんて。
グルメ(gourmet)という言葉は、「若人(groume)」と「大食漢(gourmant)」の2つの言葉の影響を受けて成り立っている。ガツガツもりもり何でも食べる様子が、「様々な飲食物を知り堪能する者」みたいなイメージを獲得していったわけだね。
美味いものを求めて、積極的に食の世界を探求していく。AとかBとか線引きできたとしても、その線が「楽しめる食の世界」を狭める役割を果たすようになったら、ちょっと寂しい。
ただ、「何でもマヨネーズかけやがって」という言葉には笑ってしまった。身近な人にマヨラーがおるのでな。最初はわしもびっくりしたなあ、わはは。

焼きそばも大変魅力的なのだけれど、B級グルメって、屋台で売られている系だと思っていいのかな。それなら、わしはケバブが好き。おつまみケバブとか最高、ビールも買ってさ。
A級は、高価で希少価値もあるもの、と考えていいのかなあ。それなら、わしもキャビアとか、ベジョータとか好き。
お家でぽりぽり食べながらのんびりお酒飲むなら、枝豆も好き。
高い食べ物も楽しんで、家計に優しい食べ物も楽しんで、美味しいで日々お腹を満たせば、心もほっこり満たされる。
ガキわしが暮らしておった港街には「おなかいっぱい、心もいっぱい」という表現があったりもする。
心が満たされるかどうか、たぶん、わしの「美味しい」の基準は、そこなのかもしれない。
食べたいのに食べちゃいけない、その不足分を頑なにA級で補おうとしていた敵さんは、ちょっと辛そうだったよね。

仲良し戦隊ソース運ぶんジャーがひたすらかわいかった。
焼きそばの香りは攻撃力高いよねえ、めっちゃお腹すくよねえ、ほーら素直に一口食べてみなね。敵さんもかわいかったなあ。
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