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映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者のLCのレビュー・感想・評価

3.6
面白かった。

クレジット画面でズラッと並ぶ「ラクガキ協力」欄が好き。
作中でたくさんの子どもがラクガキする姿を見せてくれるけれど、彼らのひとりひとりが今日も元気にその地で遊んでいるように感じられる。

勇者がそのクレヨンで絵を描くと、スケッチブックから飛び出して動いたり話したりする。
そうやって描き出されたものの中に、「だからこそ本物」という存在がいて面白い。
いつか見た「主人公のラクガキを基にデザインされた者」ではなく、主人公自身が描き出した、正しく彼こそが救いのヒーロー。
いつかの彼は、救いのヒーローとはどのような存在か、主人公に教えられる。しかし、本作ではその必要がない。
忙しい攻防の中、主人公は改めて彼をヒーローだと認識する。
「がんばれ!」と言われて「もうがんばってるんだが!」と返す姿にも、その者らしさを感じてクスッとしたりする。
黙って見ているなんて無理だよね、何か声を送り続けたい。それが、守られる者に出来るせめてもの「共闘」だから。
主人公の父親さんから良い代案が出て、やっぱりクスッとする。お仕事で色んな人と上手くやってきた、その成果だったりするかもしれない。

上手に描こう。
そういう意識で描かれた絵ではなくて、ウキウキと楽しい気持ちで描かれた絵が必要だった。
だからこそ、無理やり描かせる場面では、期待した程の効果を得られない様子も見せてくれる。
夢中になって楽しく描かれた絵程の力もないし、何より、楽しくないからそもそも描きたくない。作業効率が落ちて当たり前の光景だった。
それは、お祭りどんどんな音楽でいくら盛り上げようと、焼け石に水感が強くもなる。
上手に描くことは、練習すればいくらでも出来るようになるけれど、「胸をときめかせながら楽しく描く」ことは、身に付けるというより、忘れないようにする類いのことかもしれない。
作中のような、いよいよ破滅が目に見えてきたという状況では、忘れて当然のものでもある。
それでも、やらねばならなかった。涙を乗り越えて、主人公は笑いながら描き続ける。
街中をラクガキで満たす時、眼前に迫る危機に気持ちが飲み込まれないよう、ノリやすいリズムで楽しい気持ちにブーストをかけていて、わしの応援の気持ちにもブーストをかけられる。

晩ご飯の焼肉を目指してひたすら走る作品を見て、最近我が家では焼肉ナイトを開催したのだが、本作を見て今度はカレーが食べたくなった。
美味しくて、たくさん食べれて、力もつく。魅惑的な香りが思い出されて、物語の思い出と一緒に、近々カレーナイトを楽しもう。そう決めちゃうくらい、空腹からのカレーはわしの胃袋も刺激した。ぐう。
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