セガール幹事長代理

清須会議のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

清須会議(2013年製作の映画)
3.5
1582:明智光秀が織田家当主・信忠と実質的最高権力者である信長を死に追いやる(本能寺の変)
同年:中国地方の毛利氏攻め真っ只中の羽柴秀吉が京都へUターンし明智光秀をやっつける(中国大返し・山崎合戦)
同年:その他織田家の実力者達は諸々の事情により明智討伐に貢献できず発言力が大きく低下。織田家次期当主および旧・明智領の配分を決める会議が行われることとなった(清州会議・今ここ)

上記歴史的背景だけ頭に入れておけばギリギリ楽しめる内容になっているが、作中においてその説明はほとんどない。歴史おたくおじさん以外観なくていいよ、という制作者側の強い意志が伝わってきた。
私はそんな歴史おたくおじさんだし、この時代のwikiページとか親の顔より見てるのでとても楽しく鑑賞できた。というか色々心配していたがかなり満足であった。

この手の歴史モノの醍醐味は現代人が妄想の余地がある各々の人物の性格をどう描くか、が大切だと思うんだけど、それも優等生的に再現できていて「ここが史実と違う」とか「そんなことこの人は言わない」とかそういったストレスが殆ど無かったのも評価点だ。
特に織田四天王と言われる割に存在が地味な丹羽長秀(にわながひで)の再現率が異常で、これはマジで各々肖像画と見比べてほしいんだけど、過去見た丹羽長秀の中で一番マッチしていた。本作のMVPである。
あと絶世の美女と言われる信長の妹・お市の方をただの面倒くさい意地悪なおばさんにしたのも面白い。世の中に媚びてない。本当にいい役者をチョイスしている。彼女を小物に描いたことで、なんやかんや横から口を出しても男社会に踏み潰される弱い女の存在を強調している。気がする。
大根で有名な剛力彩芽の演技力が急成長して切り干し大根ぐらいになってた。やればできるじゃんってなった。

不満点があるとすると、領土再配分についての話し合いと周辺諸国の情勢が全く描かれていなかったことで、しかしここまでやるとあと20時間ぐらい必要なので致し方ない、とも思える。

全体的につっこむところが少ない。どうする家康で戦国時代にちょっと興味もったぐらいの人におすすめ。