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ある海辺の詩人 小さなヴェニスでのtheocatsのレビュー・感想・評価

4.1
社会問題提起というより題名通りの詩的映画

パッケージあらすじから、アジアのどこかにおけるヴェニス風の港町における物語なのだろうと勘違いしていたが、本当のイタリア〝小さなヴェニス”キオッジャを舞台とした物語。

主役ヒロインは中国女子。中国からイタリアに来て工場で裁縫仕事をしていたが、雇用主への借金のせいで自由は殆ど与えられない経済奴隷のようなもの。
しかし、いつか息子を呼び寄せたいとの願いがかすかな希望。

どういう経緯か工場から今度は港町の居酒屋バール勤務となる。
慣れぬイタリア語でどうにか地元常連客と接し、その中の老いた漁師(ユーゴスラビア移民)と〝共産主義つながり”ゆえのシンパシーで親しくなる。

ところが、口さがない連中はすぐ男女関係を疑い、中国黄禍論を念頭にした結婚詐欺のあらぬ噂をまき散らす・・・・


終盤に入るまでざっと上のような展開だが、映像がそもそも情緒的というか非常にポエジー。そのせいか中盤はちょっとうつらうつらしたほど。要はストーリー的に大きな起伏はなかったということ。

確かに中国系移民問題も一つのトピックのような気はしたが、最終的には淡い淡い男女間のポエムな親交がテーマだったのだと納得。

息子を呼び寄せる金の工面や、老漁師との思い出のある物の処理方法など不明な点や疑問点がないわけではなかったので、何年かたったらもう一度見てみようかとも思う。
そのときにはシャコ料理をつまみグラッパ(蒸留酒の一種)でも飲みながら。笑002202
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