初めて見た時、被害者の名前が母と同姓同名で、冒頭でびっくりしたのを覚えている。
今回久しぶりの鑑賞で、4Kリマスターってこんなにキレイになるのかと、今度はそっちの方にびっくり!
「琴」「三本指の男(復員兵)」「痴呆の美少女」etc.
ザ・横溝正史っていうキーワードはばっちり散りばめてあるけど、『本陣』は密室殺人でのトリックを暴く、いわば本格だから、他の作品とは毛色が違う。
金田一耕助がジーンズを履いた中尾彬なのも、この作品の際立った特色のひとつ。
市川崑作品のイメージに慣れきった身としては、音楽の持つチカラやユーモアの大切さを逆に再認識する。いや、それだけ『犬神家の一族』以降の作品群がいかにエポックメイキングだったかということの再認識か。
それでも『本陣』はこれ以降、映画化されていないし、横溝正史ファンとしては貴重な作品。金田一耕助の系譜としても、映画ファンは見ておいて損はない。