ゆみゆみ

凶悪のゆみゆみのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
4.1
怖くて途中で観るのをやめたいと思ったほど。凶悪とはまさにこの人達のことだな、と言われなくてもわかる。殺し方が極めて残虐なわけではない、それなのに怖い。この人達の精神を理解できないことが怖い。

でもこうして誰が見てもわかる凶悪より、記者の藤井(山田孝之)が正義にかられ、まるで顔つきも須藤や木村と区別がつかなくなるのがもっと怖い。

強すぎる正義は悪なのか。
この映画の根幹かと思う。

その感覚はとてもわかる。こんな凶悪な人間(須藤や木村)は死に値する。生きている実感なんか感じるな!と叫んだ藤井の気持ちがよくわかって自分も怖くなる。法の元に人間は平等。犯罪者にも人権はある。でもそういうことを頭では理解していても、心がついていかない。

それから藤井の奥さん。ただ普通に生活している良識的な人間も、認知症の母の介護で普通ではなくなる。誰にでも悪の要素を持ち合わせているのだということ。
牛島の家族も同様。

ただ、この映画の登場人物に良心を感じることはなかったが(警察でさえ)、五十嵐だけは、兄貴と慕う須藤に心身ともに尽くし、兄貴の為に死も厭わないと罪を犯しているが、牛島が殺された時に呆然とする。ここに良心を感じた。
ゆみゆみ

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