Mrsフロイ

凶悪のMrsフロイのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
3.0
現在元TBSワシントン支局長が、女性ジャーナリストに検察審査会に上告されている事件をスクープしたのは、本作の山田孝之演じる雑誌記者その人。知人のTwitterからその事実を知り、一体どういう人物かの好奇心から手にとった。

原作は「新潮45」編集部編のノンフィクション、『凶悪ーある死刑囚の告発』
死刑確定した囚人の上申で、捜査の及ばなかった隠れた殺人を週刊誌が告発、逮捕に繋げる。
資産家の独居老人を換金すると言う悪のビジネスモデルを考え出した、リリー・フランキー演じる不動産ブローカー。その実行犯をヤクザのピエール瀧。そして収監されたピエール瀧からの手紙を受け取り、拘置所に彼の話を聞きに来る雑誌記者が山田孝之。

残酷な手口を強調する犯罪描写が冗長。
記者の家庭生活の部分は原作にあったのだろうか。
高齢者と資産の問題や介護の問題等に視点が分散して、肝心の凶悪が見えて来ない。
本来は三件、或いはもっとの殺人が、自殺や事故として処理されている事実の恐ろしさ。それが他人事で無い普通の家族や社会生活の中で、埋もれている凶悪が原作ではなかったのかと想いあぐねる。

この記者が、現在取材している女性ジャーナリストの準強姦容疑逮捕状取り消し事件の顛末を、直近の週刊誌で読むとそのおぞましさに吐き気がする。
映画はそれに比べるとなんだか呑気に見えるのは、監督の手腕か…
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