タマル

凶悪のタマルのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
4.6
今年もやります!
血のバレンタイン特集!! 〜暴行編〜

以下、レビュー。


実にヴァレンタインに相応しい良い映画です。じじいもばばあも勢いよくゲボを吐き散らしていて、本当に嫌な気分になりました。

本作は雑誌「新潮45」が報じた「上申書殺人事件」がモデルとなっています。色々調べてみると、作中における事件の経緯がかなり忠実に再現されていたのだということがわかって結構キツいものがありますね。

「家族が自分を殺すよう暴力団に依頼していた」

これより最悪なことってなかなかないんじゃないでしょうか。
作中で暴力団側の家族団欒を長々と見せられてるだけに、よりこの事実の救いなさが際立つバランスになっていて、実に巧みな演出だと思います。

本作の魅力は、上記を例とした全体の演出の妙にあると思います。このあまりにも最悪の事件を、ちゃんと「面白く」感じるような作品にした監督は本当に凄いと思う。それが出来ていたからこそ、ラストの観客に向けられた問いかけは強い強い力を持っていました。観終わっても残るスッと飲み下せてしまえないような暗く重い余韻。これこそがこの題材を誠実に捌ききったことの証左ではないでしょうか。

“知る” という行為に対する姿勢を自省する良い契機となる一作となりました。
おすすめです!!!!
タマル

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