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街燈のSPNminacoのレビュー・感想・評価

街燈(1957年製作の映画)
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男にとって出会いは定期券、女にとって恋は回数券。高級メゾンと洋裁店を営むマダム2人と可愛いだけのダメなボーイ、真面目なサラリーマンら大人の恋模様。中平康のロマンティックコメディはほんとモダンでお洒落!
ファッショナブルな衣装(by森英恵)小道具、スレンダーな美男美女、スピーディな場面転換、軽妙な会話。更に街角に見える看板、店のロゴや茶漬け屋の提灯に品書き、ネオンサインなどなど、背景デザインとしてひらがな漢字英字のタイポグラフィを意図的に配置してあるのが憎いセンス!ロマンティックに洗練された50S東京のセットは、パリやNYに引けを取らない夢の世界だ。
その一方で、後半はロマンティックな人工美じゃない生活感の落差がまたすごい。昼と夜、銀座と郊外、街や人の2つの顔。だからこそ尚更ロマンスは甘くほろ苦く、うっとりするようなエンディングに。省略の仕方が色っぽい。
全体的にルビッチ『桃色の店』やルネ・クレール『巴里の屋根の下』を思わせるし、まさかの火事とかノワール風に凝った映像演出も。てらいなくバタ臭いけど、当時はそれを貪欲に着こなして似合ってしまうから楽しい。画面の隅々まで行き届いたデザイン感覚が好き。
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