てんさん

ビフォア・ミッドナイトのてんさんのレビュー・感想・評価

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)
3.8
まだ結婚もしていない自分がこのステージに辿り着くには、この映画に映っているよりも沢山の壁を越えていかなければいけないんだろうけど…

きっと男女がわかり合えることは永遠にないんだろうなと思ってしまったな。
だってこの映画みたいに2人の関係が複雑化していない今の自分ですら、わからないことだらけだもの。

喧嘩のシーンだってジェシーは宥めているつもりなんだろうけど、相手の怒りを逆撫でしまっているように自分には見えた。
客観的に見てればそう思うけど、たぶん自分も同じことするだろうなって思った。
理論的に説明しようとするだろうなって。

逆にセリーヌが怒っている内容は、「へぇそう思ってるんだ」の連続だった。
言われればわかる。確かにそうだよねって思う。
でも、その時に言ってくれないとわからないよって、今さらそんなこと言ってくるなよって、たぶん自分がジェシーだったら思ってしまう気がする。

結局、「わかり合えない」ということを「わかり合う」ことが大事なんですね。
わかり合えないなりに、自分は相手のことを想っていますよと伝えることが大事なんですね。

「こいつは自分の悩みを何にも理解してないけど、ひとまずなんとかしようとする気持ちはある」と、相手に諦めてもらうこと以外、解決する方法はないんだなと思いました。
最後のシーンなんて、まさにそんな感じだった。笑

自分はまだ『サンライズ』と『サンセット』の狭間にいて、今は『サンセット』の2人にすごく共感する部分がある。
でももう少し歳を取った後にまた観返したら、『ミッドナイト』がいちばん大切な作品になっている可能性は…わりとありそう。

こんな不完全な関係を「本物の愛」と呼ぶのであれば、何十年も一緒にいるっていうのは今の自分が思っているよりもずっと大変で尊いことなんだと、まだ全然本質はわかっていないんだろうけど、うっすら気づくことができました。
てんさん

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