月うさぎ

ローン・レンジャーの月うさぎのレビュー・感想・評価

ローン・レンジャー(2013年製作の映画)
3.7
昔過ぎて「ローン・レンジャー」なんて知らないと思っていましたが
「ハイヨー、シルバー」ですか?!「キモサベ」ですか?!
昔の子どもは馬に乗ったら「ハイヨー、シルバー!」と言わなければならないと無条件で思っていましたよ。そうかそうか。これが「ローン・レンジャー」だったのか。

しかしこれは、ゴールデンラズベリー賞『最低リメイク・盗作・続編賞』を見事獲得してしまった映画です。ディズニー的にはコケた映画扱いだし、悪評を良く見かけるので心配しながらみたんですが。
好評も悪評もどちらもある程度理解できるな~という珍しい映画となりました。

役者本人が演じる素晴らしいアクション。
特に汽車を走らせてのチェイスシーン。
3Dではない本当の景色と大がかりなセット。
そういう撮影裏話とか苦労を知れば酷評できないなあ。と思いました。

ただ、脚本はどうもいただけません。
西部劇をやりたいなら西部劇に徹すればよいのです。
派手なドンパチを楽しめるように専念してくれればいいのです。
インディアンではなく先住民、サベッジ=悪役ではなく
という現代設定に変更はもちろんそうでないといけませんが。
最も気に入らないのはディズニーランドもどきの遊園地に現代の子供を登場させ、「昔話」「リメイク」を強調した演出。(全くの無駄。全部カットすべき)
トントを異常な仮装でギャグ系のキャラにしたのも違和感。
(トントの心の痛みが全然シリアスに思えない)

コメディとギャグは異なります。
緊張感をふっと抜けばそれで充分コミカルになるんです。
そして真面目にやればやるほとコメディって面白いはずなのに…。
笑いに関してはパイレーツ・オブ・カリビアンの劣化版だと思えばいいです。
(あらまプロデューサーが一緒なのね。じゃあ仕方ないですね)

なんというか…せっかくがんばっているヒーローがジョニー・デップのおかげで安っぽく貶められてしまう。
パイレーツでオーランド・ブルームがコケにされまくっていた演出同様に。
私はジョニー・デップは好きですが、それでもこのトント役はやりすぎで残念でした。
「ローン・レンジャー」なのですから「アーミー・ハマー」が主役なのです。
そこは変えてはいけないのではないかと思います。
ローン・レンジャーはアーミー・ハマーのカッコよさを最小限に表現しようと努力している映画にしか思えません。(・∀・)

アーミー・ハマーは本作が初の主演になる訳ですが、彼、実はとてもハンサムです。
この映画は「明日に向かって撃て」も意識していると思います。
(意識するなら作品のトーンもマネしてほしかったです)
アーミーはロバート・レッドフォードをコミカルにした感じ。背も高く金髪碧眼で美丈夫の典型。こういう映画俳優さん実は結構少ないんですよね~。
レッドフォードの後継者としてはブラピがいますが、彼の若いころは男っぽいというにはかわいすぎでした。

アーミー・ハマーは196cmと背が高い。身長が高すぎてキャスティングされない位。
ブラピは180cm、トム・クルーズ170cm、ジョニー・デップ178cm
主役の役者を小さくみせちゃいますからね。
でも彼が主役ならその姿は映えますよ。
乗馬姿もかっこいいですし、姿勢がきれい。顔というより姿が派手。
この映画では理想主義で拳銃のない世界を目指そうと語る、世間知らずの法律家出身のちょっとヘタレな西部劇のヒーローです。
そしてなんと!彼は人を一人も撃ち殺しません!

「ローン・レンジャー」は本来はジョニー・デップではなく、アーミー・ハマーを見る映画じゃないかと思います。
そういう目で見てみてください。
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