介護士を目指して専門学校に入学した学生で、春を控えて家族と共に年季の入ったクロユリ団地に越してきた二宮明日香。実はその団地が近隣では有名な不穏な場所と知らされた彼女が、毎朝止まらず鳴り響く隣家の目覚まし時計を不審に思ったところ住民の老人の死体を発見し、それ以来不可解な出来事に遭遇する様を描いたホラー映画です。
『女優霊』とそれに続く『リング』で脚本家の高橋洋と共に所謂Jホラーのメソッドを確立した中田秀夫が『呪怨 白い老女』の三宅隆太と加藤淳也による脚本を映画化した2013年公開の作品で、主演に前年にAKB48を卒業した前田敦子を据えたところ彼女の人気とホラー×アイドルの相性の良さもあって十億円を超える興行収入を記録しました。
20世紀末のJホラーブームもフォロワーの粗製乱造も相まって下火となる中、新たなメソッドを作り出そうとインパクトよりもじわじわとした不穏さやツイストの効いた物語に挑みます。それでも最大のジャンプスケアが序盤の「段ボールからワッ」ではホラーとしては型なしで、工夫も不発と「アタック」からの逃げの印象が強まる一作です。