Garikuson

クロユリ団地のGarikusonのネタバレレビュー・内容・結末

クロユリ団地(2013年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

12時過ぎのレイトショー、客席まばら、同伴者なしで一人鑑賞

これほどホラー映画を鑑賞するにあたり最高のシチュエーションを選んで視聴したが、それでもそれほど怖さを感じなかった

まず、ミノル君
日本映画のお化けのイメージは、ただそこにいる、ただ近寄ってくる、それだけで十二分に恐ろしいものだ
しかしミノル君にはその恐ろしさがない
見た目は普通の男の子で異常さの欠片もないし、普通の人間のように話しかけてくるし、普通の人間のように部屋を閉めていれば中に入ってくることもできない
死因もかくれんぼのときに変なところに隠れた彼のミスであって、いくら早死が無念であろうがこの世に恨みつらみを抜かすのは正直筋違いな気すらする(これはあくまで他のホラーの幽霊のように、惨たらしく殺された等の死因に比べて、という意味ではあるが…)
その癖ラストではとんでもないパワーを発揮する。さっきまでドアすら自分で開けられなかった奴が、遠くで自分を払おうとしている力の強い霊媒師を遠隔攻撃で殺害し、成人男性一人を手も触れずに数メートル吹き飛ばし、その人間を呪詛で苦しめ、時空の狭間へとぶっ飛ばす。あまりにも急にパワーアップし過ぎて、違和感しかない。
私の中の幽霊像ではあるが、幽霊は物理的な攻撃や目に見えたアタックは仕掛けないものだ、というイメージがある。
これをやられてしまうと、幽霊も街のゴロツキ、チンピラヤクザも、全く同じベクトルの怖さになってしまうと思うからだ。
ミノル君の場合はチンピラとまではいわないが、同じフィクションであれば魔術師の類。つまり霊ではなくあくまで人間の範疇を超えていない恐ろしさとなってしまっている気がするのだ。
霊にはもっと得体のしれない恐怖を醸し出してほしかった。

続いて霊媒師。こういうホラー映画の中での霊媒師の立ち位置というのは基本的には咬ませ犬である。そういう意味ではなかなかの胡散臭さだった。が、あまりに胡散臭さすぎた。
除霊の儀式は邪魔にならない程度にお経だけでもよかったのでは?という気さえする。こっちはミノル君とは対象的に「濃すぎる」のだ。

最後に脚本について。
この作品の恐怖の焦点は3つに絞られる。
一つは言わずもがな、ミノル君。二つ目は、隣で孤独死していたお爺さん。最後は、数年前に死んでいる家族のことを認められずに未だに幻覚を見続ける主人公の精神そのものである。
どれもこれももはや本来単品で扱えるくらいのパンチの要素であるはずなのに、ごっちゃ煮にしてしまっているために希釈されすぎている。
最後に帳尻を合わせるようにミノル君が出張ってきたが、すんなり飲み込むことが出来辛かった。

ホラーとしてもインパクトに欠け、かつ映画としても軸が定まり切ってない印象が拭えなかったため、総合評価は2点とする。
Garikuson

Garikuson