Stroszek

死霊のはらわたのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

死霊のはらわた(2013年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

2013年アメリカ。1981年サム・ライミ作品のリメイク。森や森小屋、書物、そして人体を「理由もなく」メタモルフォーゼさせるオリジナルの迫力は封印され、過去のトラウマドラマに比重が置かれている。特にこれといった背景のない大学生が森に来てなんの必然性もなく怖い目に遭ういきなり感がよかったのに…。森に来た理由→妹の薬物中毒治療のため、悪魔憑きのあった山小屋→臭い、悪魔憑き→薬物中毒の延長と誤解される、顔のただれた変形→熱湯シャワーを浴びたため、といったディテールや、主人公デイヴィッドが過去精神病の母と幼い妹を捨ててシカゴのガレージに就職した過去を持つなど、いらない背景設定も追加され、少々げんなり。オリジナル三作の要素(チェインソー、腕切断、顔への吐瀉物ぶっかけ、血の噴水、ガレージでの物作り…)に加え、『ザ・リング』(井戸や白衣の少女)の影響も感じられる。雨のジメジメした雰囲気だけはオリジナルにはなかったと思うが、禍々しさがやはり足りないと思う。ドラマ部分や痛みの描写にリアリズムを加えるだけでは、物語がスウィングしないのはよく分かった。『エルム街の悪夢』リメイクを観たときも思ったが、過去のトラウマや現代人の病みを付け加える必要はぜんぜんないし逃げだと思う。最後にブルース・キャンベルが出て来て「グルーヴィ」と言うんだが、本作に足りないものを製作陣(ロバート・タパート、ライミ、キャンベル)が付け足したのだろうか?唯一いいと思ったのは、『死者の書』の描写。あんな物騒な本(燃やしても燃えない!)、ふつう黒ポリ袋に入れて、針金で縛っとくだろう。
Stroszek

Stroszek