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フッテージのkazukiのレビュー・感想・評価

フッテージ(2012年製作の映画)
3.5
『ブラック・フォン』から遡り鑑賞

ブラックフォンと同じく、スコット・デリクソン×ブラムハウス×ロバート・カーギル

⬛️両作に共通する部分として
・演出面
過去を表現する際のスーパー8使いや、予測不可能なジャンプスケアなどは共通する所。
しかし恐怖演出がジャンプスケア一辺倒なのはホラーファンには物足りないかも。

・脚本, 構造
人間ドラマを中心に描くのはデリクソンの持ち味かも知れない。両作とも家族の絆を描いているが,本作は夫婦に ブラックフォンでは子供達に それぞれ焦点が当てられている。ホラーに他のジャンルを足した作りというのも共通しており、本作は【心霊ホラー+探偵物】,ブラックフォンは【超能力ホラー+青春物】になっている。

子供も狙うというのも, 『IT』のペニーワイズと通じる部分があるというのも両作の犯人に共通する。


⬛️ブーグルの行動
本作で面白いのは, 悪役である古代の神ブーグルの行動だ。

彼の戦法をおさらいすると,

①取り憑いてる家に獲物が来るのを待つ。
②家族が来たら,精神攻撃を行い,獲物を定め,そいつに取り憑くる。
③家族が他に移動するのを待ち,獲物以外を排除, 獲物の魂を喰う。
④その家で次の獲物を待つ。①に戻る。

という感じだ。

こう見ると、彼は結構頑張っている事が分かる。まず、多分 自ら移動する事が難しいので、わざわざ家族が引越すのを待っている。同じ家で奇妙な事件が連続すれば人が寄り付かなくなってしまい次の獲物をゲットできないからだ。また、単に子供の魂を取っていくのではなく、他の家族を皆殺しにさせてから魂を奪っていく。そうした方が魂が美味しくなるとかいう事もあるのかも知れないが, 子供だけ居なくなったのでは残りの家族が居座ってしまい、次の子供が来ないし、何より色々と詮索されてしまう! という現実的な理由の方が強いだろう。

とまぁ、結構理詰めで頑張っているブーグルだが1966年のプールサイドから2012の落書きまで5回しか魂を喰えていないという、、中々辛い成績なのだった。

⬛️残念な点
やはり終わり方がちょっと物足りない。
実在の無い悪が勝つので、単純にカタルシスは無い。それまで丁寧に描いて来た家族の物語も突如潰える訳だが、元々壊れかけていたので絶望感も薄い, もうちょっと「これから再出発出来そうだったのに!」感が有れば良かったかも。またブーグルという悪を倒せなかった事による絶望も薄い。奴は1人(というか1柱?)だし、先述したように、超たまにしか事件を起こさないからだ。
R指定だったにも関わらず表現が淡々としており盛り上がりに欠けたのも残念。

⬛️邦題
フッテージという邦題は結構好きで、(原題はシニスター)主人公はフッテージを見て取り憑かれていく訳だし、彼は事件のフッテージと並行して自らのフッテージ(過去インタビューやテレビ映像)を見ていく、またこの映画自体が事件フッテージでもあるという、、まぁ色々掛けて考えられそうで面白い! と思いましたということです。


⬛️小ネタ
撮影裏話も恐ろしくて
木に吊るされるシーンでは, スタントコーディネーターのミスで実際にスタントマンが吊られてしまったという。(誰にも怪我はなかったが,コーディネーターはすぐクビになった)

また、プールのシーンでも実際に縛って水中に入れるというスタントを行なっている。

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