豊富なイマジネーションで創作の苦悩と物語の力を綴った怪作!
でした。
簡単にプロットを紹介しますと、
70, 80年代のジャンル映画監督/脚本家として成功したレオナールは、現在では一線から退き、海賊版DVDを観るのが日課の隠居生活を送っている。
ふとしたきっかけから、10年前に未完のまま放置していた脚本『逆襲のフクロウ』の完成を試みる。
と、いう矢先。事故に遭い、昏睡状態に。
病院のベッドに横たえられた肉体を他所に、レオナールの精神は『逆襲のフクロウ』へ入り込んでしまう。自らが創造したB級アクションムービー内を生きながら、「うーんここはもっとこうして..」と推敲し続ける様が終始アクションで表現され、目にとても楽しい。
(この辺りの描写はかつてのフィリピンジャンル映画のルックや芝居、サウンドが徹底されており、パワフル且つ懐かしみのある印象。レオナールにとっては、喪失感溢れる現実からの逃避行であり、かつ、物語から力を得る過程になっています。)
やがてレオナールは、自らも登場人物として、その物語世界を生き始めます….。
とプロットの紹介はこの辺りにして...。
映画に限らず、物語を作る というのは、‘’ある人の一生を形作る‘’事だと言えるとも思います。私達は物語を通して架空人物の人生を垣間見るという訳です。
本作ではこの、〈物語〉を創作することの苦悩や、物語そのものが持つパワーへの信頼が、レオナールのナラティブを通して、豊富なイマジネーションと徹底した形式に対する遊びによって提示されています。
そして勿論、我々映画ファンのように、物語を享受する人がいる限り、そこに登場する彼らの存在は永遠です。
レオノールよ永遠なれ!