マグロ

レーズン・イン・ザ・サンのマグロのレビュー・感想・評価

レーズン・イン・ザ・サン(1961年製作の映画)
3.3
「我が家には神さまがいます」

ファッションブランドユニオンのロゴの元ネタになった映画。
「野のユリ」のシドニー・ポワチエ主演。

黒人の貧困一家、ヤンガ一家で、父親が交通事故で他界。突如として1万ドルという巨額の保険金(現在の10万ドル相当)が舞い込む。
一家はそれぞれ大金の使い道を考えるが…なメロドラマ。

異人種隔離政策であるジム・クロウ法がバリバリ現役だったころの黒人一家の苦悩を重厚に描いた秀作。

主人公ウォルターは酒屋の経営権を購入することで慢性的な貧困から抜け出そうとする。母親は長年の夢である家を買おうとし、医学部に通う妹は金の一部を学費に充てようとする。
彼は酒屋の投資に大反対の母親を煽りまくって説得に成功。家と投資と学費を三等分して使うことに。

新しい家に引っ越し心機一転しようとする一家だが、黒人一家が一等地にくることを嫌がる白人たちに「金を払うから来ないでくれ」と打診される。
一度は突っぱねる一家。しかし、酒屋投資のパートナーであった男が金を持ち逃げ。6500ドルを失ってしまう。
途方にくれるウォルターには家から出ていくともらえる金が魅力的に映り…。

重い!
ウォルターには妻と息子がおり、一家の大黒柱としての責務をまっとうしたい。が、全くそのような能力がないし労働意欲も低い典型的ダメ親父。家に引っ越したころのウキウキ具合から保険金を失った後の意気消沈具合がなかなかに楽しい。

ヤンガー一家は単なる善良な一家というわけでもなく、アフリカ出身の黒人を軽くバカにしたりしてるのも皮肉が効いていて楽しい。

希望があるようで特に何も好転していないラストもとても好み。

ところでユニオンのロゴの部分のシーンなんですが、映画だと見切れてるじゃないですか!!ポスターだけみたい。
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