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モアのmarohideのレビュー・感想・評価

モア(1969年製作の映画)
3.5
 腹立たしい映画だ。やはりどうも自分はヒッピー文化というものを好きになることが出来ない。自堕落で無秩序で不潔で身勝手。しかしなんだかな、それへの憧れ、一種の美しさもわからないでもないのが悔しい。

 ミムジー・ファーマー演ずるヒロインは圧倒されるほどに魅力的。この点に関しては否定のしようがない。綺麗な人だ。言動や仕草、コロコロと変わる表情にも、どこか惹かれるところがある。それが余計に彼女の空虚さを際立たせているわけであるが。結局のところ、酒とタバコとセックスとドラッグしかない。
 持て余してくたびれきった若さや、閉塞感の裏返しとしての奔放さというのはこの時代ならではなのだろう。しかし、現代の若者として観ざるを得ない自分には、どうしてもこの軽薄さが鼻についた。

 唐突にやってくるエンディングといい、話の筋といい、何も残らない映画だ。が、それは意図された何もなさなのだろう。とにかく、誰も彼も悲しげな顔をするのが上手い。
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