イチロヲ

氷の微笑のイチロヲのレビュー・感想・評価

氷の微笑(1992年製作の映画)
3.5
殺人事件を捜索する捜査官が、犯罪小説家として活動を続けている資産家の女性に籠絡されてしまう。下着をつけずに脚を組み替えるシーンが登場することにより、「全世界で最も一時停止された映画」と言われている、サスペンス・スリラー。

「男の人生を破綻させてしまう魔性の女」「女の魔性の恐ろしさを知りながらも、惹き寄せられてしまう男」という情念のドラマを、犯人捜しのミステリー劇に落とし込んでいる作風。原題を直訳すると、「基本的本能」となる。

主人公の捜査官(マイケル・ダグラス)は、カウンセリングを受けている状態(=去勢された状態)となって登場。一方、ヒロイン(シャロン・ストーン)は、男の性衝動を自在に操る、妖術使いとして登場。欲動をパズルのピースのように表現している。

フロイト先生ならば「凶器のアイスピックは性の象徴であり、なおかつ死の象徴でもある」と紐解くだろうが、たぶんそれが正解だと思われる。父権主義によって刷り込まれた「女性らしさ」からの脱却という、日活ロマンポルノ的観測が捗る作品。
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