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スタンリーのお弁当箱のhzkのネタバレレビュー・内容・結末

スタンリーのお弁当箱(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

お弁当を持って来れなくて水道水を飲んだり嘘をついたり、子供がお腹を空かせてるって状況が見てて辛いけど、スタンリーの周りの子供たちの行いが、なんて人として正しいんだろう!と心を洗われた。
あの澄んだ瞳の綺麗さよ…
貧乏だからいじめてやろ、ってよくある光景のように思えるけど、それってとんでもなく異常なことだよなと再認識。
お腹が空いてる友達にお弁当を分けてあげる、って見返りを求めずに当たり前にできる子供たちが尊い。
みんながこんな風であってほしいと願ってしまう。
そしたらなんて優しい世界なんだろう。
それに引き換えあのデブジジイ、久々にこんなに映画のキャラに腹が立った。クソ。
でも最後の反省と手紙で嫌なまま終わらなかったし、子供のお弁当に手を出さなきゃ苦しいくらいの生活をしてるのかもしれない。知らんけど。
ロージー先生の美しく優しく正しい大人の描き方も良かった。
生徒の良いところを見つけて伸ばしてくれる先生の存在って、柔らかい子供の心に絶対に必要。
将来への道を開いてくれるのは、もしかしたら親よりも先生ってこともある。

サクセスストーリーかと思いきや、ラストで明かされたスタンリーの家庭事情を知ってまたちょっと凹む。
お弁当を持って学校に行けるようになったけど、置かれてる環境が変わった訳ではないから、家に帰れば辛い現実が待ってる。
そもそもあそこを家と呼べるのか。
でも兄のような存在がいることがまだ救い。
味方がいるといないでは大違いだから。
そしてこの状況がインドでは現実だってことも知った。
きちんとした教育を受けて学ぶことで選択肢や視野が広がるのに、子供のうちから働かされていたら考える時間やあらゆる可能性を潰してしまうことにならないのかな。
遠い国の知らない子供の話だと思わずに、こういうことにも目を向けて知ることができるから映画を観るって大事な時間だな。

学校でみんなにお弁当を振る舞うスタンリーが「お母さんが作った」って言うのが、嘘じゃなくて願望なんだと思うと切ない。
朝4時に起きて作ってくれたとか、この材料はどこどこで買ったとか、そうだったらいいのになっていうスタンリーの叶わない願い。
バッドエンドじゃないのに、心に寂しさが残る後味。
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