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スタイルウォーズのmementooreのレビュー・感想・評価

スタイルウォーズ(1983年製作の映画)
4.0
とても面白かった。
70年代から80年代初頭にかけてのニューヨークでのヒップホップ誕生前夜を追うドキュメンタリー。主にグラフィティライターたちが追われ、少しブレークダンサーのシーンも入ってくるといった構成から、ヒップホップ=ラップという一般化されたイメージではなく、DJ・MC・ダンス・グラフィティの四つから始まったということを改めて思い出させる。このことは何度思い返してもいいくらい重要なことだ。
ライターたちのグラフィティの描写の方法や技術についての命名が面白かった。3Dやモンタージュ、ボムやタギングなど。同時に彼らは、アウトラインが重要だと何度も繰り返す。グラフィティは単なるパッションや勢いといったものだけではなく、綿密な計画と技術の体系化を目指す試みとセットだった。他のクルーや集団に「パクられる」というシーンがあったが、パクりが発生するのは技術として確立されたものがあるというのが前提になっているからだ。
また、グラフィティの起こりとして、初めはおそらくフッドの近くの建築物に描かれていたのが、70年ごろを境に鉄道の車体に描くというのがムーブメントになる。自分の名前が描かれた電車が走っているのを見る。そもそもグラフィティは自分の名前を署名することである。その宛先がどんどんと広げられ、次第にニューヨーク全体を巻き込んだ行政上のトラブルに発展していく。
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