イチロヲ

愛のコリーダのイチロヲのレビュー・感想・評価

愛のコリーダ(1976年製作の映画)
3.5
恋に狂わされた女中(松田映子)が、愛人(藤達也)の局部を切り落としてしまう。1936年の「阿部定事件」を題材に取っている、エロティック・ドラマ。ひし美ゆり子に主役を打診したという逸話あり。

1975年にフランスにて無修正ポルノが解禁。日本が映画後進国になってしまうことを憂えた大島渚は、日本で撮影したフィルムをフランスに送り、現地のスタジオで現像と編集を処理。無修正・本番アリの日本映画を誕生させている。

とにかく、「藤達也と松田映子の役者力がスゴイ」のヒトコトに尽きる。大島監督の演技指導は一切なく、役者が自由意志で芝居しているという驚異。藤達也が、実際に体重を落とすことにより、身をやつしていく過程を見事なまでに表現している。

冗長な性行為を絶え間なく見せられるため、飽和状態と疲労困憊の感があるけれども、「情欲が極に達した状態」を鑑賞者に伝えることには成功している。また、絵作りがしっかりしているため、「動く春画」としての魅力に満ち溢れている。
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